クーデターを経験した高校生が「紛争地に生きる人々の命の物語を伝えたい」と願い製作した“かるた”。ICTやクイズを活用した授業は、楽しく学びながら異文化理解や人権、平和への関心を育みます。日本の伝統遊びを通して、遠くの国に生きる人々への想像力と共感につながる体験ができます。「知ることから始まる小さな一歩が、誰かの再起を支える力になる」と学びの先の未来を感じるプログラムです。
実施日時
2025年9月14日(日) 12:30 ー 13:30
プログラム紹介
2021年、ミャンマーで軍事クーデターが発生。その日を現地で過ごした日本人中学生は、日本に帰国後、高校1年生で“ヤンゴンかるた”を製作しました。紛争のニュースが流れてもどこか無関心な若者に違和感を覚え、平和は当たり前ではないこと、本来のミャンマーの豊かさと、そこに生きる人々の生命の物語を伝えたいと願い、クラウドファンディングで300万円の支援を集め完成。かるたには衣食住、伝統、産業、路地裏アートまでが描かれています。この教材は全国の小中高・大学で出前授業に活用され、民族衣装や楽器、現地通貨や文字に触れながら、宗教・民族・政治・人権といったテーマにも、自然な対話を生み出してきました。さらに高校生が立ち上げたソーシャルビジネス「innore design」では、現地女性の再起を支える商品デザインも展開。遊び×学び×社会課題をつなぐ活動は、教室での探究を超え、平和、多文化共生と国際協力への行動へと広がり続けています。 ワークショップでは模擬授業の他、クラウドファンディングのきっかけ、仲間の増やし方、公教育での出前授業やメディアに取り上げられた経緯など、実践のリアルを紹介します。
登壇者
野中 優那 様 (国際基督教大学2年生 ヤンゴンかるたプロジェクト代表)
石川 航 様(立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士後期課程)
野中 茂壮 様(聖学院高等学校2年生 innore design代表)
参加者へのメッセージ
ヤンゴンかるたプロジェクトは、一人の高校生の「問い」から始まり、クラウドファンディング、教材製作、ソーシャルビジネス、現地支援へと広がりました。本ワークショップでは、学びが行動に変わっていくリアルなプロセスを、企画・実践を担った生徒自らが語ります。その過程には、いつも周囲の大人たちのまなざしと支えがあります。「どうすれば、生徒が自ら動き出すのか?」「世界の問題とどう向き合えばいいのか?」「探究を社会に接続するには?」そんな問いを持つ先生方にこそ、ぜひ参加いただきたい内容です。生徒の言葉が、教室の可能性を広げる力になることを願っています。